2017年12月12日火曜日

風邪ひき読書

風邪を引いたので積ん読本をよみました。読まないと書けない質なのでまずは読むわけです。
ローカリズム宣言(内田樹、デコ)
読んだら効くひとりは内田樹です。180ページの日本の学術的発信力の劇的な低下に関するForeign Affairsの記事というのはこれ、でNatureの記事はこれでしょうか。必読ですな。

辞令(高杉良、文春文庫)
会社勤めはしたことないけど、この本を読んでいると、仕事するヒマないくらい根回しとかにいそがしそうでした。

兼好法師(小川剛生、中公新書)
高校の授業で習った、兼好法師に関する記述はほとんどが誤りであるというおそるべき事実を検証した本。吉田兼好っていう名前がそもそもねつ造とのこと。歴史学、というか文献史学は最高に面白くて、黒田 日出男の「国宝神護寺三像とは何か (角川選書) 」とか、「謎解き洛中洛外図 (岩波新書)」の、通説の矛盾点を見つけ、広大な文献から参考となる資料を渉猟し、資料の行間を縦横無尽に組み合わせつつ読み解いて、これまで見えてこなかった事実が浮かび上がってくる様子は、いいミステリーを読んでいるようで最高に楽しいです。本書においても、始まって3ページ目からの「この通説は完璧に見えるが、疑問を禁じ得ない。」に始まるこれでもかと続く問題提起と、紙背文書の裏読みからめくるめく明らかにされるプロセスは、名探偵の推理を聞いている少年探偵団の隊員のごとく、わくわくものであります。兼好法師像というのは、読解にも関わってくるので、高校の古文の先生はさぞ困るでしょうなぁ。あと、システム生物学の論文でこういうのが書きたいな。とおもいました。

深読み日本文学(島田雅彦、集英社インターナショナル新書)
本書の狙いが今ひとつはっきりしないので、なんともいいようがないのでありますが、日本文学史を整理する新たな切り口を提示しました。というのであれば、あくまでも文学関係その筋向けの業界内文書にとどまってしまうのであり、もう少し好意的に、一般向けに書かれたんだと見てみると、これを読んで島田雅彦はあたまいいなぁとか感じる人が出る可能性は万が一にでもあるかもしれないが、じゃあ日本文学を読みたくなるかと言われると、まったくそうではないようなので、「競争相手は馬鹿ばかり」の世界へようこそというガイドブックだと思えば、ま、そんなもんか、と納得はするのでした。


奇巌城(モーリス・ルブラン、南洋一郎訳、ポプラ文庫クラシック)
むかし、「奇巌城」「シャーロックホームズの冒険」「ドリトル先生アフリカ行き」を買ってもらって、まずはドリトル先生にはまり、それからホームズにいったので、ルパンには疎いのです。「奇巌城」にはホームズが出演するのですが(しかも因縁ありげだがあまり活躍しない)、こう言うのって事前になにか相談したり、版権のやりとりとかあったんでしょうか。。。などが気になってしまいました。研究プロジェクトで世知辛い知財の話ばっかり聞かされていると、人間がセコくなる、、、

未必のマクベス(早瀬耕、早川文庫JA)
「グリフォンズ・ガーデン」は確かOhX!に荻窪圭が書評を載せていて、放課後に姫路の本屋で立ち読みで読破したはずなんだが、どんな話だったかと言われると、数字あるいは数式に色がある。という女の子が出て着る話だったような気がする(また、そういう女の子に出会いたいという数学者の愚痴をその数年後に飲み屋で聞かされたこと)以外、とくに何も覚えていないのだが、その作者の20何年ぶりの新作の文庫化ということで本屋で山積みだったし、梅田のブックファーストのランキングでも6位だったので読んでみた。東南アジアアジア+ハードボイルド+初恋以降+理想の女+謎+カクテル飲みまくりということで、矢作俊彦の「ロング・グッドバイ」の気の抜けたやつ。という感じではある。ダイキリも甘いが、キューバリブレはもっと甘いのだ。さらに、オチとかはあんまりにも情けない願望がそのままなので、もうちょっとどうにかならんものか、、。この作品が好きな方は矢作の「ロング・グッドバイ」をぜひ。

勁草(黒川博行、徳間文庫)
年に一度のお年玉、とかクリスマスプレゼントって感じでよむとこの安定感と大阪弁がたまらない。今回は、オレオレ詐欺グループとそれを追う警察グループの視点が交互に入れ替わりつつ進むので一粒で2度おいしい感じである。

☆Motor Fan illustrated 134号(三栄書房)
特集は水平対向エンジンである。水平対向エンジンの利点は低重心、バランスがいい。の2点だが、フロントに置くと排気系の取り回しが苦しく、うんぬん、などとおしえてもらい、なるほどなあと図面をながめているだけで結構楽しい。













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