2018年3月29日木曜日

林業的バイオプロダクション

バイオプロダクション、というのは植物が光合成で固定した炭素(バイオマス)を微生物の代謝能力で有用な化合物、例えば燃料やプラスチック原料に変換しよう。というものです。工学的な発想だと、でかい石油化学コンビナートの原料を石油からバイオマスに、触媒を微生物に変換したらいいじゃん。と考えます。この工業的バイオプロダクションがバイオプロダクション技術の背景にある基本思想といっていいでしょう。地下から湧き出て輸送効率がいい石油が原料なら、一か所にでかい設備を作るのが正解ですが、問題は、バイオマスというのは地理的に薄く広がった資源である。ということと、再生可能とはいえ、再生には時間がかかるということ、軽くて運搬するエネルギーがもったいないということと、バイオマスの運搬=土地から栄養素を奪うことにつながることだと思います。
工業的なバイオプロダクションがあるなら、農業的なバイオプロダクションというのもありじゃんと思います。けど、特に食料自給率の低い日本のような国では食べ物を作れる土地があるなら食べ物を作ったほうがいいですよね。
となると、残るは林業的バイオプロダクションです。そもそも、石炭石油の時代が来るまでは、山から切って来た木で燃料をまかない、いまならプラスチックで作るようなものもみな、木や竹を加工して作っていたのです。植物が光合成で固定した炭素(バイオマス)を微生物変換抜きで直接使っていたといえるでしょう。ただ、木を資源として復活させるには、切ってきて山の下まで運ぶのがとっても大変だというむつかしい問題があります。植物の光合成とは、光エネルギーを還元力(電気)あるいは化学エネルギーに変換し(光反応)、ついでそれらを利用して炭素を固定します。炭素として固定されちゃうと運ぶのが大変なので、
・林道沿いの木の樹冠に安価な太陽電池パネル(シート)をかぶせる感じでドローンで敷設する。太陽電池パネルからは電線で電気を集める(できれば太陽電池パネル(シート)と電線は生分解性のものがよい。10年くらいでだめになり、そのうち土に返ってほしい)。木が光合成に使う光エネルギーを一部電気として使わせてもらう。
・それから植物で発電ができる可能性があるらしい。山全体でやればいいじゃん。
・発電した電気は中山間地のエネルギーとして利用する。
・あまった電気は、エコひーぽんみたいな小型プラントに送りこむ。その中では電極から受けとった電子で炭素固定ができる微生物が炭素固定を行い、プラスチック原料へと変換する=微生物蓄電とする。
・固定したプラスチック原料がある程度たまったら、回収して地方中核都市にある工業的バイオプロダクション施設に売り払う。
・山の中に住んでるやつが、最後は勝つ。
という林業的なバイオプロダクションは、ありえませんかね。

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